歴史講演会「貝類群集の変遷から平潟湾の生い立ちを探る」
平成29年2月19日(日)、金沢地区センターにおいて、当文化協会主催の歴史講演会を開催しました。『貝が語る縄文海進』の著者である松島義章先生に「金沢区の平潟湾の変遷」を語って頂いた。
平潟湾一帯には、夏島貝塚、野島貝塚など多くの貝塚が存在することが考古学で明らかになっている。また縄文時代には海水が増えて海面が高くなる縄文海進や海面が低くなる海退が繰り返されたことも知られている。いっぽう、貝類は種類ごとに干潟や沿岸の底など、生息場所が決まっている。そのため、干潟群集、沿岸砂底群集などのように貝類をグループ化して調べていくと海岸の位置がつかめるとのこと。先生が貝類の分布を調べて作成された1万3千年前から1千5百年前までの平潟湾一帯の海岸線の変遷図が紹介された。その図から、野島が岬だったり、島だったり、半島の先だったりと変化していることがよくわかった。
同様な調査で、鶴岡八幡宮の近くまで鎌倉の海岸線が迫っていたとか、戸塚駅付近まで湾が広がっていたとかも分かったとのことで、驚きであった。
さらに県立追浜高校敷地のボーリング調査では、世界で2例目となる介形虫というウミホタルの仲間のミイラの化石が発見されたが、これは魚のフンのおかげでミイラ化した貴重な化石資料とのことで、写真でも確認できたことも大きな驚きであった。
先生は、日本国内だけでなくハワイやフィジーなどでも同様の手法で調査をされていて、興味深い内容にあっという間の2時間だった。参加者の質問も多く、関心の高さがうかがえた。