長浜には明治の検疫遺産である検疫資料館(一号停留所)・長浜ホール・細菌検査室の3施設がある。
現在、長浜ホールと細菌検査室は横浜市の所有となっており、いつでも見学可能である。いっぽう、検疫資料館は厚生省に属する検疫所が所有する施設であり、しかもその敷地内にあることから、1年1回開催される施設全体の一般公開日にしか見学できない。
長浜ホールと細菌検査室についてはいつでも建物の内外や内部の展示物を見学することはできるが、説明パンフレットやパネルが有るのみで、説明員は存在せず、詳しい解説を聞けるわけではない。
長浜の検疫所はコレラなどの伝染病に関わる検疫業務を実施するために明治28年に開設されたものである。しかし、検疫の実態が徐々に変化し、昭和45年にはそれまでの業務が終了。現在は輸入食品の残留農薬など、有害化学物質の検疫検査を実施している。したがって、検疫所開設と同時に作られた一号停留所の建物や内部にある展示物にいて詳しく知る職員はもはや存在しないという状況にある。
平成29年8月19日(土)、長浜にある検疫所の年1回の一般公開に合わせ、同所敷地内の検疫資料館(一号停留所)、同所に隣接の長浜野口記念公園敷地内の長浜ホール・細菌検査室の検疫3施設を巡り、その歴史や内部の展示物の案内を野口英世細菌検査室保存会が行った。
公開に先立って検疫所は関東一円の関係機関・学校に、保存会は近隣住民や金沢区内住民へのPRに努めた。その成果もあり、遠方からの関係機関の職員、学校や企業のグループ、お子さん連れ、老若のカップル、かつての様子を知る近隣住民など、全体で約470名の見学があった。検疫資料館の見学者からは、その保存と一般公開の要望が多数あった。