平成29年6月10日(土)、文化協会主催の歴史講演会が金沢地区センターで開催された。講師は、瀬戸神社宮司・当協会顧問の佐野和史氏で、江戸時代の瀬戸神社と金沢について語っていただいた。
まず、現在も境内に残る蛇混柏(ジャビャクシン)についての話があった。この木は称名寺の西湖梅・黒梅・桜梅・普賢象桜・文殊桜・青葉の楓、君ヶ崎の一つ松とともに金沢の八名木と呼ばれた。それが江戸時代に最大級の台風で倒れてしまった。その倒れた幹が今も境内に残るが、現在もおあまり腐食が進んでいないとのこと。また、ビャクシンは太平洋沿岸の黒潮文化圏に位置する寺社に多く植えられていることなど、多くの映像を含めた興味深い内容で、満席の参加者も身を乗り出して拝聴した。
続いて、関ヶ原の戦い直前に瀬戸神社を訪れた徳川家康、家康公を祀った東照宮、『新編鎌倉誌』を刊行させた水戸光圀、金沢八景の元となった漢詩を能見堂で詠んだ中国の禅僧心越、瀬戸神社に大絵馬を奉納した江戸神田の材木商の話があった。多彩な人物と瀬戸神社のかかわりから、当時の賑わいが伝わってきた。
講演終了後、瀬戸神社境内に移動。今や金沢の新名所となったヤマアジサイについて宮司の奥様・佐野玲子氏に説明をしていただいた。ヤマアジサイの清楚な美しさとともに、栽培のきっかけとなった3.11震災犠牲者を悼む奥様の思いの深さが伝わり参加者は大きな感動を受けた。